第34回大会

第34回大会を2019年12月6日-9日,豊橋市自然史博物館にて開催しました。
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12月6 日(金)午後:幹事会
12月7 日(土)午前:評議員会  午後:公開シンポジウム,学会賞・論文賞記念行事,懇親会
12月8 日(日)一般研究発表(口頭・ポスター),総会
12月9 日(月)巡検(第47 回日本植生史学会談話会)

会場:豊橋市自然史博物館
〒441-3147 愛知県豊橋市大岩町字大穴1-238(豊橋総合動植物公園のんほいパーク内)
懇親会:豊橋市自然史博物館内自然史スクエア

大会プログラム
2019 年12 月7 日(土) 公開シンポジウム,学会賞・論文賞記念行事,懇親会
10:30-13:00 受付

13:00-15:55 公開シンポジウム(特別企画展示室)
テーマ:「種の同定への挑戦:植物化石や植物遺体から種はどこまで認識できるのか?」
オーガナイザー:那須浩郎(岡山理科大学)・吉川博章(豊橋市自然史博物館)
趣旨:植生史研究では,過去の堆積物や考古遺跡から出土する植物の断片や印象から種を同定し,そこから過去の植生や植物利用の歴史を明らかにしている。この「種を同定する」という作業は,植生史研究の基本であり,諸データの根本を成すものである。一方,近年のDNA を用いた分子系統解析やネットワーク解析からは,形態では識別しにくい隠蔽種が存在することが報告されている。また,近縁種や栽培種/野生種の識別などにおいては,種子や花粉では確認できない形質(花のにおいや色,休眠性など)が鍵を握る場合もある。私たちは,植物化石や植物遺体の形態からどこまで種や亜種・変種を識別することができるのだろうか?今回のシンポジウムでは,改めて「種を同定するとは何か?」について議論したい。本シンポジウムにより,植物化石や植物遺体の種の同定についての認識を共有し,植生史学のさらなる発展に貢献したい。

13:00-13:05 開会挨拶
13:05-13:25 趣旨説明「植生史研究における種同定の現在と諸問題」 那須浩郎(岡山理科大学)
13:25-13:55 「現存する種子植物の種同定 ―形態とDNAからのアプローチ―」 田村 実(京都大学)
13:55-14:25 「植物化石から種をどう捉えるか?―研究の現状と課題―」 矢部 淳(国立科学博物館)
14:25-14:35 休憩
14:35-15:05 「更新世以降の化石花粉の種レベルの同定―考古遺跡や湿原から検出された種―」
吉川昌伸(古代の森研究舎)
15:05-15:55 総合討論

16:05-17:10学会賞・論文賞記念行事(特別企画展示室)
学会賞記念講演:守田益宗
学会賞記念講演:西田治文

17:30-19:30懇親会(豊橋市自然史博物館内自然史スクエア)

2019 年12 月8 日(日)一般研究発表(口頭・ポスター),論文賞記念講演,総会
9:00- 9:45 口頭発表A「生態,古生態,環境変動」(特別企画展示室)
9:55-10:40 口頭発表C「分類・系統,生物地理」(特別企画展示室)
10:50-11:20 論文賞記念講演
11:20-12:05 総会(特別企画展示室)
12:05-13:00 昼食
13:00-14:30 ポスター発表(特別企画展示室 予定)
14:30-16:55 口頭発表B「人と植物の関係史」(特別企画展示室)

口頭発表 A「生態,古生態,環境変動」
O-01 9:00-9:15 「滋賀県犬上郡多賀町四手における古琵琶湖層群産植物化石に基づく古植生の復元」
〇山川千代美・神谷悦子・多賀町古代ゾウ発掘プロジェクト

O-02 9:15-9:30 「鹿児島県国分平野における花粉分析に基づく最終氷期末期以降の植生変遷と気候変動」
〇吉田明弘・吉山一輝・森脇 広

O-03 9:30-9:45 「大微粒炭と大型植物化石から復元した極東ロシア・アムール州北部のグイマツ林の過去約1500年間の火災と植生の歴史」
〇百原 新・Olga Sorokina・岩原こころ・矢野梓水・高橋輝昌・池田 駿・Semyon Bryanin

9:45-9:55(休憩)

口頭発表 C「分類・系統,生物地理」
O-04 9:55-10:10 「茨城県陣屋敷低湿地遺跡における縄文時代後期から弥生時代中期の植生変遷」
〇能城修一・吉川昌伸・工藤雄一郎

O-05 10:10-10:25 「オニグルミとサワグルミの花粉の識別」
〇紀藤典夫・松本純奈

O-06 10:25-10:40 「キカシグサ属(ミソハギ科)の花粉形態」
上中央子

10:40-10:50(休憩)

10:50-11:20 論文賞受賞記念講演
「産状と成分からみたカラスザンショウ果実の利用法について」
〇真邉 彩・小畑弘己

「大型植物化石群から復元した北海道北部猿払川湿原群の発達過程」
矢野梓水・〇百原 新・近藤玲介・宮入陽介・重野聖之・紀藤典夫・井上 京・横田彰宏・嵯峨山積・横地 穣・横山祐典・冨士田裕子

11:20-12:05 総会
12:05-13:00(休憩・昼食)
13:00-13:30 ポスター発表

ポスター発表 A「生態, 古生態,環境変動」
P-01 13:00-13:02 「壮齢シラカバ林における花粉粒生産量」
清永丈太

P-02 13:02-13:04 「マツ科3属7種の花粉生産量の推定―定量的植生復元の基礎資料として―」
〇斎藤俊彦・竹谷尚樹・三宅悠平・高原 光・佐々木尚子・中村琢磨・林 竜馬・杉田真哉

P-03 13:04-13:06 「完新世後期における対馬の植生と海洋環境との関係」
〇右藤周悟・渡邉正巳・入月俊明・藤原勇樹・瀬戸浩二・香月興太・Jin-Young Lee・Jaesoo Lim

P-04 13:06-13:08 「植物珪酸体からみた大隅半島の台地部と山地部における鬼界カルデラ噴火後の植生」
〇林 尚輝・井上 弦・河野樹一郎・井上 淳

P-05 13:08-13:10 「蒜山地域八日市湿原周辺における植生変遷と人間活動の影響」
〇四戸莞嗣・佐々木尚子・高原 光

P-06 13:10-13:12 「愛知県豊橋市大岩町の中期更新世湖成堆積物中の大型植物化石」
吉川博章

P-07 13:12-13:14 「比叡山山麓近くの黒色土層について」
小椋 純一

ポスター発表 B「人と植物の関係史」
P-08 13:14-13:16 「古文書料紙における植物素材の選択と変遷:陽明文庫所蔵史料と松尾大社所蔵史料を中心に」
渋谷綾子

P-09 13:16-13:18 「西太田遺跡6における建築部材の用材選択」
〇高橋 敦・永井智教・横澤真一

P-10 13:18-13:20 「下末吉台地東端部における歴史生態学的研究―低地の水田景観の形成を中心に―」
〇太刀川彩子・鈴木茂・山口徹・安藤広道

P-11 13:20-13:22 「弥生時代初期の稲作に関する栽培試験」
〇木村台・川島茂人・中村公人・兼近深宇

ポスター発表 C「分類・系統,生物地理」
P-12 13:22-13:24 「魚沼層群の下部更新統産大型菌類化石の形態と分類」
〇菊地達郎・糟谷大河・百原 新

P-13 13:24-13:26 「北半球の湿潤温帯域の木本属組成を比較する」
〇大住克博・吉本新一朗

P-14 13:26-13:28 「日本列島産高木属の東アジアにおける分布をネット情報で視る」
〇吉本新一朗・大住克博

口頭発表 B「人と植物の関係史」
O-07 14:30-14:45 「The spread of barley (Hordeum vulgare) into northern Japan and its role in the hunter-gatherer economy of the Hokkaido Okhotsk culture (5th–10th century AD)」
〇Leipe, C.・Sergusheva, E.A.・Müller, S.・Spengler III, R.N.・Goslar, T.・Kato, H.・Wagner, M.・Weber, A.W.・Tarasov, P.E.v

O-08 14:45-15:00 「もう一つのコクゾウムシ入り土器」
〇小畑弘己・宮浦舞衣・中野和浩

O-09 15:00-15:15 「九州縄文時代におけるダイズ属大型化の再検討」
宮浦舞衣

O-10 15:15-15:30 「ウクライナ新石器〜青銅器時代の栽培穀物―レプリカ法調査報告(第1次調査2016〜2018)―」
〇遠藤英子・那須浩郎・D. Gaskevic・O. Yanevich・M. Videiko

15:30-15:40 (休憩)

O-11 15:40-15:55 「秋吉台における森林利用とドリーネ堆積物中の植物珪酸体化石群」
〇渡邉稜也・江口誠一・藏本隆博

O-12 15:55-16:10 「青森県高屋敷館遺跡のPEG処理済出土木材の酸素同位体比年輪年代測定」
〇箱﨑真隆・木村淳一・木村勝彦・佐野雅規・對馬あかね・李貞・中塚武

O-13 16:10-16:25 「洞窟遺跡における植物利用:ダムジリ遺跡の事例(アゼルバイジャン)」
〇赤司千恵・M.マンスーロフ・A.ゼイナロフ・西秋良宏

O-14 16:25-16:40 「長崎県伊木力遺跡から出土したモモ核の再調査」
〇工藤雄一郎・水ノ江和同・百原 新・門叶秀樹・野澤哲朗

O-15 16:40-16:55 「浙江省田螺山遺跡における木製品の用材傾向―クワ属の多用とその利用法―」
〇村上由美子・鈴木三男・浦 蓉子・川崎雄一郎・鶴来航介・西原和代・山下優介・孫 国平・中村慎一

巡検(第47 回日本植生史学会談話会):「渥美層群と東海丘陵の湿地を巡る」
内容:渥美半島の太平洋岸には、第四紀中期更新世の渥美層群が広く分布している。これらの地層からは多くの植物化石が産出し、古くから研究が行われている。この巡検では、これらの産地を巡るほか、東海丘陵要素として知られる特徴的な植物群が生育する湿地の様子を見学する。シデコブシなどの東海丘陵要素の植物群は,周伊勢湾地域の低湿地などに生育する貴重な植物群である。近年の都市開発により,分布域が減少しているが,今回はその貴重な生育地を見学し,東海丘陵要素の成り立ちや保全について考える。また、豊橋市内で、保全生態学の成果と考古学の発掘技術を融合させて、重機を使った大規模植生回復作業を行っている葦毛湿原を見学し、担当者にご案内いただく予定である。

案内人:吉川博章・松岡敬二(豊橋市自然史博物館)・贄 元洋(豊橋市文化財センター)
世話人:那須浩郎
日時:2019年12月9日(月) 8:00〜17:00
移動方法:貸切バス
参加費:3,000円程度(昼食代別)※人数によって変動あり
行き先:豊橋市内及び田原市 6〜7カ所

行程
8:00  豊橋駅集合
8:30  葦毛湿原の植生回復作業について見学
11:00 豊橋市〜田原市の太平洋岸にて渥美層群の露頭見学
12:00 昼食
13:30 田原市藤七原湿地などシデコブシ群落の残存分布状況を見学
17:00 豊橋駅解散