第25回大会

第25回大会を2010年11月27-28 日名古屋大学において開催しました。

日時
11月27 日(土)  午前:幹事会・評議員会
午後:公開シンポジウム・奨励賞授与及び受賞記念講演・懇親会
11月28 日(日)  午前・午後:一般研究発表(口頭・ポスター)・総会

会場 名古屋大学野依記念学術交流館(名古屋市・東山キャンパス地区)
主催 日本植生史学会・名古屋大学年代測定総合研究センター・名古屋大学文学研究科
大会実行委員 中村俊夫(委員長)・山本直人・南 雅代・森 勇一・工藤雄一郎・西本 寛・奥野絵美・小田寛貴・宮田佳樹・大森貴之・近藤 敏・藤井理恵

第25回大会ポスター

大会プログラム
11月27日(土)
公開シンポジウム
テーマ「東海地方における里山林の成立とその利用」

オーガナイザー 森 勇一(金城学院大学)・齊藤 毅(名城大学)

趣旨:今からおよそ500 万年から200 万年前に堆積した河川成堆積物で構成された東海地方の丘陵地には,シデコブシやハナノキ・イヌナシなどをはじめ東海丘陵要素と呼ばれる植物を含む里山林が 成立している。こうした里山林の成立に,ヒトがどう関わってきたか,近年,注目を集めている「里山の生態学」について概観する。時代をさかのぼり新第三紀 から第四紀にかけての植物相について,花粉および大型植物化石を用いた研究法と,その成果から得られた里山林の原型を考える。次に,先史~歴史時代のこ ろ,ヒトが里山の森林資源を建築材あるいは生活道具としてどう選び,どう利用してきたか,遺跡調査から得られた情報をもとに追究する。やがて,里山林は江 戸時代から明治・大正・昭和を経て今日に至る間に大きく変貌し,今やヒトはこれを守り育てる必要性に迫られている。そのあるべき姿について考察する。

趣旨説明 森 勇一・齊藤 毅
基調講演 東海地方の里山林-東海丘陵要素の植物を中心に 広木詔三(愛知大学)
S-1 新第三紀の花粉化石と環境変動 齊藤 毅(名城大学)
S-2 植物化石からみた暖温帯落葉広葉樹林の歴史 百原 新(千葉大学)
S-3 歴史時代における木材資源利用 樋上 昇(愛知県埋蔵文化財センター)
S-4 21世紀の里山のありかた 伊藤俊哉(住友林業緑化)
総合討論

奨励賞授与ならびに受賞記念講演
懇親会

11月28日(日)
一般研究発表(口頭)
口頭発表 B「人と植物の関係史」 座長:山本直人
O-1 和紙試料の14C年代がもつold wood effectについて-書写年代既知の古文書の14C年代測定から- 小田寛貴*・中村俊夫(名古屋大年代測定総合研究センター),増田 孝(愛知文教大),池田和臣(中央大)
O-2 アウラガ遺跡における植物遺存体の古民族植物学的研究 小畑弘己*・真邉 彩(熊本大埋蔵文化財調査室)
O-3 コクゾウムシからみた縄文時代の植物性食料の貯蔵形態 小畑弘己・真邉 彩*(熊本大埋蔵文化財調査室),宮ノ下明大(農業・食品産業技術総合研究機構)
O-4 東京都下宅部遺跡出土の土器付着植物遺体に対する残存デンプン粒分析とその結果 渋谷綾子(広島大総合博物館)

口頭発表 B「人と植物の関係史」 座長:能城修一
O-5 神奈川県平沢同明遺跡出土土器圧痕からみた弥生時代前期後半の栽培植物 佐々木由香*・米田恭子(パレオ・ラボ),戸田哲也(玉川文化財研究所)
O-6 釜山市古村里遺跡出土木材・木製品および編組製品の植物種 鈴木三男*・小林和貴・小川とみ(東北大植物園),西本豊弘(国立歴史民俗博物館)
O-7 『大日本老樹名木誌』と『朝鮮巨樹老樹名木誌』に基づく日本と朝鮮半島の巨樹の比較 佐藤征弥*(徳島大),姜 憲(水原大),瀬田勝哉(武蔵大)

ポスター発表
A「生態,古生態,環境変動」
P-1 東北タイにおける落葉フタバガキ林下表層部中の植物珪酸体化石群 江口誠一*(千葉県立中央博物館),岡田直紀(京都大),Somkid Siripatanadilok・Teera Veenin(カセサート大)
P-2 秋田県由利本荘市菖蒲崎貝塚をめぐる環境変動史 一木絵理*・安 昭炫・辻 誠一郎(東京大)
P-3 茨城県花室川堆積物の花粉・木材化石からみた最終氷期の環境変遷と絶滅種ヒメハリゲヤキの古生態 吉田明弘*・鈴木三男(東北大植物園),西本豊弘(国立歴史民俗博物館)
P-4 宮崎県都城市四家における姶良Tnテフラ下の花粉化石群と微粒炭 三宅 尚*・島 道生・村上 将(高知大),百原 新(千葉大),赤崎広志・松田清孝(宮崎県総合博物館),河野樹一郎(産総研)
P-5 霞ヶ浦沿岸花室川出土の約2~4万年前の大型植物遺体群 住田雅和*(国立歴史民俗博物館),百原 新(千葉大)

B「人と植物の関係史」
P-6  Preliminary pollen analysis of surface samples from rice paddy fields in Kyoto and its significance Shu Jun-wu(Nanjing Institute of Geology and Palaeontology, Chinese Academy of Sciences,京都府大)
P-7 近世江戸の桜と梅の社会文化史 古市真美*・辻 誠一郎(東京大)
P-8 関東平野における古代~近世の植生史と集落生態系史 古山かずき*・辻 誠一郎(東京大)
P-9 古代出羽国における森林植生と木材利用 友野雄己*・安 昭炫・辻 誠一郎(東京大)
P-10 新潟県姫御前遺跡出土埋没林と木柱を用いた年輪年代学的研究 木村勝彦・法井光輝*(福島大),加藤 学((財)新潟県埋蔵文化財調査事業団)
P-11 鹿児島県甑島の弥生・古墳時代における食用植物に関する考察 大西智和*(鹿児島国際大),真邉 彩(熊本大埋蔵文化財調査室),中村直子・寒川朋枝(鹿児島大埋蔵文化財調査室),鐘ヶ江賢二(鹿児島国際大)
P-12 弥生再葬墓遺跡出土土器の圧痕から同定された雑穀(アワ・キビ)とイネ-群馬県沖Ⅱ遺跡の事例から-
遠藤英子(首都大東京)
P-13 レプリカ法による長野県目切遺跡出土縄文時代中期土器の種実圧痕調査について 中沢道彦*(早稲田大先史考古学研究所),輿石 甫(岡谷市土師の会),佐々木由香(パレオ・ラボ),会田 進(明治大黒耀石研究センター),山田武文(岡谷市教育委員会)
P-14 漆掻きがウルシ樹液溝形成に及ぼす影響 小林和貴*(東北大植物園),富永 司・本間健司(漆工芸 荻房),鈴木三男(東北大植物園)
P-15 「くるり棒」の樹種 高橋 敦(パリノ・サーヴェイ株式会社)

C「分類・系統,生物地理」

P-16 豊橋市自然史博物館に寄贈された棚井敏雅博士寄贈のドイツ産植物化石 吉川博章(豊橋市自然史博物館)

口頭発表 B「人と植物の関係史」 座長:鈴木三男
O-8 新潟県青田遺跡出土木柱の考古学・年輪年代学的分析による縄文時代晩期の集落形成とクリ利用 荒川隆史*((財)新潟県埋蔵文化財調査事業団),木村勝彦(福島大)
O-9 古墳時代から古代の関東平野の内陸部における照葉樹林の成立とイチイガシ製木製品の流通の可能性
能城修一*(森林総合研究所),佐々木由香(パレオ・ラボ),吉川昌伸(古代の森研究舎)
O-10 江戸時代の水田雑草の多様性:神奈川県池子遺跡での事例 那須浩郎(総研大)
O-11 黒色土層中に含まれる植物珪酸体と微粒炭の分析による奈良県曽爾高原での草原と火の関係史 奥中亮太(大阪市立大)

口頭発表 A「生態,古生態,環境変動」 座長:百原 新
O-12 山陰地方における後期更新世から完新世の地質現象と植生への影響 渡辺正巳(文化財調査コンサルタント株式会社)
O-13 新潟県姫御前遺跡より出土した完新世後期埋没林の樹種組成 箱崎真隆*(東北大),小川とみ・鈴木三男(東北大植物園),(財)新潟県埋蔵文化財調査事業団
O-14放射性炭素年代から暦年代への較正データの検討-屋久杉の巨木を用いる取組- 中村俊夫*(名古屋大年代測定総合研究センター),増田公明・三宅芙沙・永冶健太朗(名古屋大太陽地球環境研究所),吉光貴裕(名古屋大)