【11巻1号】2002

植生史研究 第11巻第1号(2002年11月発行)

[巻頭写真]
氷河に接する常緑広葉樹林
西田治文, PDF

[原著]
最終氷期の本州における針広混交林の成立にはたすチョウセンゴヨウの生態的役割
沖津進, p3-12, PDF

最終氷期の本州に分布していた,チョウセンゴヨウ,エゾマツ,バラモミ節樹木の針葉樹と落葉広葉樹との針広混交林の成立にはたすチョウセンゴヨウの生態的 役割を考察した。最終氷期の本州では,チョウセンゴヨウやバラモミ節樹木が現在よりも豊富に分布し,チョウセンゴヨウ-落葉広葉樹混交林が低標高域を中心 に広く分布していた。最終氷期の針広混交林の成立にはたすチョウセンゴヨウの生態的役割を理解するために,シホテ-アリニ山脈北部アニュイ川流域の現生針 広混交林でチョウセンゴヨウと主要混交樹種との種間関係を整理した。そこでは,チョウセンゴヨウが介在することによって落葉広葉樹の分布が抑制され,チョ ウセンゴヨウ-落葉広葉樹混交林が卓越し,チョウセンゴヨウ-エゾマツ林が落葉広葉樹林域にまで広がっていた。さらに,バラモミ節樹木の生態的性質を理解 するために,北海道阿寒湖畔の現生針葉樹林における本節のアカエゾマツとエゾマツの樹形と樹高成長を比較した。湿潤立地では,エゾマツはアカエゾマツを凌 駕して優占するが,乾燥立地では,アカエゾマツはエゾマツと混交した場合でも一定の優占度を確保することが明らかとなった。最終氷期には,チョウセンゴヨ ウは,種間関係を通じて落葉広葉樹の分布を抑制し,エゾマツおよびバラモミ節樹木の分布量が増加する方向に作用し,最終氷期の針広混交林の成立に対して大 きな生態的役割を果たしていたと考えられる。

粉川昭平教授大阪市立大学定年記念講演「植物学と考古学」
辻誠一郎, PDF

(1990年3月10日)追悼・粉川昭平先生
辻誠一郎, PDF

粉川昭平博士著作論文目録, PDF
塚越実・南木睦彦・辻誠一郎

追悼・木村達明先生の思い出[付. 著作論文リスト]
斎木健一, PDF

[事務局報告]
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