第3回学会賞

日本植生史学会表彰規程(2002年11月17日制定、2009年11月8日改正)に則って、第3回学会賞審査委員会(南木睦彦委員長、植村和彦、鈴木三 男、松下まり子、能城修一各委員)を設置し、審査を行った。その結果、第3回日本植生史学会学会賞は京都府立大学教授 高原 光氏に決定した。

受賞者
高原 光

推薦理由
高原氏は、スギの最終氷期以降の分布変遷過程など、花粉分析をもとに植物生態学的な観点で、西日本を中心とした最終氷期以降の植物群の時間的・空間的分布変遷について多くの研究を行ってきた。また、バイカル湖周辺やオホーツク海周辺の植生史研究を、ロシアと共同で早い時期に開始し、大陸域の植生史や現生植生の調査に基づいて、最終氷期の日本の植生変遷をとらえ直した。そこでは、ハインリッヒイベントなどのグローバルな気候変化の影響に加え火災が森林に与えた影響など、この時代の植生史研究を日本国内だけでの問題ではなく、グローバルな比較研究へと発展させた。これらの研究の過程で、多くの若手研究者を育て、多数の若手研究者との国際誌の共著論文がある。国際花粉学会・古植物学会2012年東京大会開催事務局長として、東日本大震災後の困難な状況のなかでも、日本の花粉学者・古植物学者や花粉症研究者をまとめ、準備にあたっている。本会においても、京都府立大学での大会開催、談話会の企画・実施、評議員としての参画、植生史研究への論文投稿など多くの貢献をし、また長らく日本花粉学会会長としてもこの分野の発展に貢献している。これらの多岐にわたる功績から、高原氏に日本植生史学会学会賞を授与することにした。