第30回日本植生史学会大会のご案内(第1報)

第30回日本植生史学会大会を下記の要領で開催します。※大会・巡検の申込み方法等の詳細は8月上旬頃にご案内する予定です。一般研究発表の申込み締切りは9月上旬頃になる見込みです。

日時

2015年11月6日(金)午後:幹事会

2015年11月7日(土)午前:幹事会・評議員会、午後:公開シンポジウム・学会賞/論文賞関連行事・懇親会

2015年11月8日(日)一般研究発表(口頭/ポスター)・総会

2015年11月9日(月)巡検(第40回日本植生史学会談話会)

会場

北海道博物館講堂ほか
〒004-0006札幌市厚別区厚別町小野幌53-2

アクセス

バスをご利用の方

地下鉄新さっぽろ駅・JR新札幌駅からバスターミナル・のりば10(北レーン)JR北海道バス新22「開拓の村行き」に乗車、「北海道博物館」で下車。乗車時間は約15分。

JRご利用の方

JR森林公園駅の東口のりば、新札幌駅からの上記のバスが森林公園駅に寄ります。バス乗車時間は約5分。※JR森林公園駅から北海道博物館まで徒歩で20~25分。

大麻・江別方面から

ジェイ・アール北海道バス・夕鉄バス新札幌方面行きに乗車し、「厚別東小学校前」で下車、バス停から徒歩15分。

駐車場

北 海道博物館のまわりには百年記念塔前駐車場、北海道博物館駐車場、開拓の村駐車場の3つの駐車場があります。北海道博物館をご利用の際は、北海道博物 館駐車場が最も近く便利です。お体の不自由な方、妊娠中の方などは身障者用駐車場をご利用ください(10台ほどの駐車スペースがありま す)。

懇親会会場

ホテルエミシア札幌(JR新札幌駅改札から徒歩約3分、地下鉄新さっぽろ駅9番出入口より徒歩約1分)

宿泊

各自でお早目にご予約ください。大会会場や懇親会会場(新札幌駅)周辺には宿泊施設が少なく、JR札幌駅や地下鉄大通駅付近に多数あります。JR札幌駅からJR新札幌駅間は快で10分弱、普通で15分程度です。

主催

日本植生史学会

大会実行委員

田口尚(委員長)・臼杵勲(副委員長)・紀藤典夫(副委員長)・内田和典・大塚宜明・高瀬克範・高宮広土・椿坂恭代・三浦正人・水島未記・守屋豊人・江口誠一・星野安治

シンポジウム

テーマ

『植生史が語る北海道の文化−縄文からアイヌへ−』

オーガナイザー

山田悟郎(札幌国際大学)

日程

11月7日(土)13:00〜

趣旨

現 在、北海道ではアイヌ民族の「民族共生の象徴となる空間」における博物館基本計画が具体化しつつある。この動きの中で、北海道における縄文文化~続 縄文化~オホーツク文化~擦文文化~アイヌ文化の変遷は、北海道島内で独自に展開してきたもののみではないことを再認識する必要がある。ただし、 南北の文化を一方的に受け入れたのものでもない。必要なものを能動的に取捨選択しながら、自らの文化に取り入れ、発展してきたのである。人々の植物 利用は食料資源獲得だけではなく、自然と共生しながら高度な技術を体得し、衣食住・生業・交易活動と共に、本州地域とやや異なる文化を育んできた のである。それは火山噴火、地殻変動、気候変動などの環境変化とも、大きく関わりながら、時には連綿と受け継ぎ、時には断絶と変容を繰り返しな がらダイナミックに展開してきた経緯がある。ここではアイヌの歴史・文化・精神世界に関する正しい理解と認識を深めるために、北海道の植生史研究 の黎明期を振り返り、道内に特徴的な各種資料をもとに、これまでない視点からアプローチして議論を深めたいと考えている。

また、アイヌ 文化伝承者の減少に伴い、現在は残されていない技術や伝統文化の検証と掘り起こしも必要である。次世代に文化を継承するためには、植生史による実践的な 調査・研究・復元が欠かせないことは言うまでもない。しかし、博物館や研究機関における専門家の世代交代などが加する中で、調査・研究を後継す る若手研究者の減少も、深刻な問題のひとつある。その結果、多くの関係機関では貴重な試料(資料)の保全・保存も危うい状況にあることが懸念されてい る。本シンポジウムではこのことについても議論したいと考えている。

基調講演「植生史が語る北海道の文化」山田悟郎(札幌国際大学)

特別講演「アイヌの植物利用について」村木美幸(白老アイヌ民族博物館)
(1)フローテーション法の黎明期—椿坂恭代(Projectseeds考古植物研究会)
(2)北海道の漆製品について—小林幸雄(元北海道開拓記念館)
(3)北海道の木製品について—三浦正人(北海道埋蔵文化財センター)
(4)北海道の編組製品について—吉本忍(国立民族学博物館)
討論 オーガナイザー 山田悟郎

巡検(第40回日本植生史学会談話会)

テーマ

『北海道の植生と埋蔵文化財』

日程

2015年11月9日(月)バス移動

9:00  JR新札幌駅前集合
9:30  野幌森林公園「ふれあい交流館」(森林植生と生物の特徴)
10:30  北海道立埋蔵文化財センター(展示室・千歳市ママチ土製仮面(重文)・美々8遺跡アイヌ期の木製品(重文))
11:30  北海道開拓の村(旧北海道庁・石建築・漁村群などの歴史的建物群ほか)
昼食
14:00  恵庭市郷土資料館(カリンバ遺跡出土遺物(重文)漆器・柏木川4縄文編布など)
15:20  千歳市キウス周堤墓群
16:20  美々貝塚・植内貝塚
17:00  千歳空港で一部解散(バスはJR札幌駅まで戻る)

案内人

山田悟郎・三浦正人、世話人:田口尚・高瀬克範・守屋豊人

内容

時 期的に多くの植物は枯落ちているため、北海道に特徴的な針混交林植生および森林性生物の状況を野幌天然林のガイダンス施設で再確認する。北海道埋 蔵文化センターでは調査報告した旧石器からアイヌ文化の出土遺物とともに、原産地ごとの黒曜石や道内各地のテフラ堆積と遺物包含層の剝ぎ取り標本を 見学する。また、縄文時代の千歳市ママチ土製仮面(重文)、キウス4遺跡やキウス5遺跡の木製品、擦文~アイヌ文化期のユカンボシC15遺跡や美々8遺 跡低湿地遺跡出土品(重文)など、道内に特徴的な木製品の製作技法や樹種選択などについて理解する。次に北海道開拓の村において、アイヌ文化期以後の 北海道の発展に関わった建築物を見学する。午後からは恵庭市郷土資料館にて縄文時代のカリンバ遺跡出土の多種多量の漆器類(重文)、柏木川4遺跡出土の 特殊な模様編みの編み物を見学し、赤色顔料と漆利用について学ぶ。次に縄文時代の巨大な集団墓地である国指定史跡千歳市キウス周堤墓群を見学し、縄文 時代の土木技術について考える。縄文時代前期の千歳市美々貝塚を見学し、縄文海進時の石狩低地帯の縁辺の状況を学ぶ。千歳空港で解散とするが、新千 歳空港内には、集落、貝塚、周堤墓、墳墓、落とし穴などをはじめ、縄文~アイヌ文化期の多数の遺跡が存在した。連泊する方はバスでJR札幌駅ま でお送りする。※施設の都合や天候・災害などで予定が変更される場合があります。