【29巻1号】2021

植生史研究 第29巻第1号(2021年2月発行)

[巻頭写真]
多数の土器圧痕が検出された大型定住集落:宮崎市本野原遺跡
小畑弘己
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[原著]
宮崎市本野原遺跡出土の縄文時代後期のマメ類種子多量混入土器
小畑弘己・宮浦舞衣, p.3-14
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本野原遺跡は,宮崎市の中心部から 50 km 西に位置する,約 4300 ~ 3500 年前の九州地方の縄文時代で最も大きな集落の一つである。我々は,36 回にわたるこの遺跡での 179,135 点の土器の「圧痕法」による調査によって,マメ類を含む 500 点以上の種実や家屋害虫の圧痕を発見した。この調査以前には植物性食料資源と推定されるものは本遺跡ではコナラ属の堅果類のみであった。X 線機器を用いた追加調査の結果,九州地方で最も多数のダイズやアズキなどのマメ類圧痕を得るとともに,九州初の多量マメ類混入土器を検出することができた。これらの発見は九州地方における最も初期のマメ類栽培と栽培植物の豊作に対する精神と儀礼的行為の出現の可能性を示す。さらに,土器胎土中の高密度のマメ類種子はそれらの粘土中への意図的混入を強く示唆している。

[短報]
魚梁瀬スギ標準年輪曲線(1768 ~ 2004)
米延仁志・星野安治・大山幹成, p.15-19
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柳原麻子:報告-第48 回日本植生史学会談話会
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那須浩郎:書 評:中山誠二.2020.ものが語る歴史 40 マメと縄文人.B5 版,191 pp.ISBN978-4-88621-844-5.同成社,東京.3700 円+税.
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日本植生史学会の会員動向将来予測のためのアンケート結果報告
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