第4回奨励賞

日本植生史学会表彰規程(2002年11月17日制定、2004年11月28日改訂)に則って、奨励賞審査委員会(鈴木三男委員長、能城修一・大井信夫・紀藤典夫・百原新各委員)を設置し、審査を行なった。その結果、第4回奨励賞に以下の1件の論文を推薦することにした。

受賞論文
滋賀県曽根沼堆積物の微粒炭分析による約17,000年前以降の火事の歴史
井上淳・高原光・千々和一豊・吉川周作, 植生史研究, 第13巻第2号 (2005), p.47-54

第4回奨励賞受賞者推薦理由
(日本植生史学会奨励賞審査委員会委員長 鈴木三男)

本論文は、滋賀県曽根沼における約17000年前以降の堆積物の微粒炭を分析し、火災の歴史の概要を明らかにしたものである。本論文は、これまで花粉分析にともなって観察され議論されてきた小微粒炭だけではなく、より局地的な火事を反映すると考えられる大微粒炭をも抽出・解析し、さらに微粒炭の反射率から燃焼温度を推定するなど、微粒炭分析をより洗練させて、日本における火事の歴史を多角的に把握することを可能とした。それによって微粒炭分析が火事の歴史を明らかにする上で有効であること示し、日本の植生史解明に大きく貢献する一歩を築いたと評価できる。また従来、分類群との関連でのみ議論されてきた植生史研究に、分類群を離れた視点から光をあて、植生史研究の裾野を広げた点でも評価できる。よって本論文を第4回奨励賞受賞論文として推薦する。