第3回奨励賞

日本植生史学会表彰規定(2002年11月17日制定、2004年11月28日改訂)に則って、奨励賞審査委員会(辻誠一郎委員長、佐藤宏之・能城修一・百原新・山田昌久各委員)を設置し、審査を行なった。その結果、第3回奨励賞に以下の1件の論文を推薦することにした。

受賞論文
縄文時代の木材利用に関する実験考古学的研究 -東北大学川渡農場伐採実験-
工藤雄一郎, 植生史研究, 第12巻第1号 (2004), p. 15-28.

第3回奨励賞受賞者推薦理由
(日本植生史学会奨励賞審査委員会委員長 辻誠一郎)

本論文は、実験考古学的手法によって縄文時代の木材利用や森林管理といった生業活動の復元を試みたものである。これまで遺物だけにもとづく生業活動の復元に偏っていた植生史研究や考古学の分野に新たな方向性を示した。本研究では、調査地点の選定理由が明確で、実験に仕様した道具も実際に出土した遺物に忠実に復元されており、方法論が明快でかつ考察も客観性が高い。本研究の重要な特徴は、実験参加者や道具の作成者など多数の協力者を得て行なわれたことであり、こうした研究プロジェクトは様々な学術的研究に発展する可能性が高い。このように本論文は研究手法や結果が明快で理解しやすく、植生史研究全般の振興に寄与するものと期待される。よって、本論文は奨励賞に値するものと評価でき、受賞論文に推薦する。