日時: 2011年11月6日(日)11:20-12:30
場所: 弘前大学創立50周年記念会館
議長: 清永丈太
I. 報告事項
1. 2011年度事業報告
1-1. 庶務
(1) 会員動向(2011年9月30日現在): 名誉会員3名,賛助会員1社,一般会員361名,学生会員32名,団体会員9団体(前年度比:名誉会員±0名,賛助会員±0社,一般会員+10名,学生会員-4名,団体会員+1団体).除名会員1名.
(2) 2011年度評議員会を2010年11月27日,総会を11月28日に名古屋大学野依記念学術交流館において開催した.
(3) 第8期会長・評議員選挙を,松本みどり選挙管理委員長のもと2011年6月1日~7月8日の日程で実施し,会長に守田益宗氏,評議員に南木睦彦,松下まり子,紀藤典夫,辻誠一郎の各氏が選出された。
(4) 第8期幹事の編成を行い,事務局長:西田治文氏,庶務幹事:吉田圭一郎氏,会計幹事:松本みどり氏,広報・渉外幹事:西本寛氏,編集委員長:能城修一氏,編集副委員長:工藤雄一郎氏,行事委員長:佐々木由香氏,行事副委員長:庄田愼矢氏,自然史学会連合担当幹事:藤井伸二氏,IPC/IOPC2012協力委員会委員長:能城修一氏,同副委員長:小畑弘己氏にそれぞれ就任を要請し,委嘱した.
(5) 会員名簿を編集・刊行し,2011年10月に会員に配布した.
(6) 幹事会を2011年11月27日に名古屋大学野依記念学術交流館において,2011年4月23日,2011年10月1日に中央大学理工学部において開催した.
1-2. 広報・渉外
(1) ニュースレター23号・24号・25号を編集・刊行した.
(2) メーリングリストによる情報配信を適宜行った.
(3) ホームページの管理と更新を行った.
(4) 企業広告の募集を行った.
(5) 会誌「植生史研究」のPDF版を作成し,第17巻第2号までホームページで公開した.
1-3.編集
(1) 会誌「植生史研究」第18巻第2号,第19巻第1号・第2号合併号,第20巻第1号・第2号を編集・刊行した.
1-4.行事
(1) 第25回大会を2011年11月27・28日に名古屋大学野依記念学術交流館において開催した.大会実行委員長:中村俊夫。大会実行委員:山本直人・南 雅代・森 勇一・工藤雄一郎・西本 寛・奥野絵美・小田寛貴・宮田佳樹・大森貴之・近藤 敏・藤井理恵.参加者:107名.
(2) 第32回談話会を2011年7月16・17日に中央大学理工学部において開催した.テーマ:「植生史解明のための室内実験法5-初心者のための種実遺体分析・同定法-」講師:南木睦彦.講師補助:佐々木由香・那須浩郎.世話人:西田治文・藤井理恵.参加者:21名.
(3) 第26回大会を2011年11月5・6日に弘前大学文京町キャンパスにおいて開催すべく準備した.
テーマ:「植生史解明のための室内実験法4-初心者のための遺跡出土木材の切片作製と同定-」.
講師:能城修一.講師補助:佐々木由香・小林克也.世話人:西田治文・近藤 敏.参加者:20人.
(4) 第33回談話会を2011年11月6・7日に大会巡検として開催すべく準備した.
2. 2011年度決算報告・会計監査報告
2011年度の決算が報告され、江口誠一会計監査より適正に処理されていたことが報告された.
3. 第3回学会賞
日本植生史学会表彰規程(2002年11月17日制定,2009年11月8日改正)に則って,第3回学会賞審査委員会(南木睦彦委員長,植村和彦,鈴木三男,松下まり子,能城修一各委員)を設置し,審査を行った.その結果,第3回日本植生史学会学会賞は京都府立大学教授 高原 光氏に決定した.
受賞理由:高原氏は,スギの最終氷期以降の分布変遷過程など,花粉分析をもとに植物生態学的な観点で,西日本を中心とした最終氷期以降の植物群の時間的・空間的分布変遷について多くの研究を行ってきた.また,バイカル湖周辺やオホーツク海周辺の植生史研究を,ロシアと共同で早い時期に開始し,大陸域の植生史や現生植生の調査に基づいて,最終氷期の日本の植生変遷をとらえ直した.そこでは,ハインリッヒイベントなどのグローバルな気候変化の影響に加え火災が森林に与えた影響など,この時代の植生史研究を日本国内だけでの問題ではなく,グローバルな比較研究へと発展させた.これらの研究の過程で,多くの若手研究者を育て,多数の若手研究者との国際誌の共著論文がある.国際花粉学会・古植物学会2012年東京大会開催事務局長として,東日本大震災後の困難な状況のなかでも,日本の花粉学者・古植物学者や花粉症研究者をまとめ,準備にあたっている.本会においても,京都府立大学での大会開催,談話会の企画・実施,評議員としての参画,植生史研究への論文投稿など多くの貢献をし,また長らく日本花粉学会会長としてもこの分野の発展に貢献している.これらの多岐にわたる功績から,高原氏に日本植生史学会学会賞を授与することにした.
4. 第1回論文賞
日本植生史学会表彰規程(2002年11月17日制定,2009年11月8日改正)に則って,第1回論文賞審査委員会(南木睦彦委員長,植村和彦,鈴木三男,松下まり子,高原 光,百原 新,能城修一各委員)を設置し,審査を行った。その結果,第1回日本植生史学会論文賞は,第17巻第1号掲載の工藤ほか論文と第18巻第1号掲載の渋谷論文の2編の論文に決定した。なお,規程では授賞は「原則として2件」とされている。両論文のいずれを推薦するかについての審査委員の評価は二分されていたが,両論文ともに十分に論文賞に値するものと考え,2論文に授与と決定した。
受賞理由:工藤雄一郎・小林謙一・江原英・中村俊夫「栃木県小山市寺野東遺跡から出土した縄文時代後・晩期の木組遺構の高精度年代測定」第17巻第1号
本論文は,15基と多数の木組遺構が検出されている寺野東遺跡において,木組遺構の年代的位置づけを明確化することを目的として,詳細な14C年代測定を実施して遺構の年代的位置づけを明確にしたものである.縄文時代の年代測定においてウイグルマッチングを行いより高度な遺構木材の年代決定を試みた点に,独創性が見られる.高精度の年代測定に基づいた編年は,土器型式や遺構の年代・特性などを高い分解能で明らかにし,各種考察の基礎となる.本論文ではそうした成果が示されている.今後の高精度年代測定の可能性を示した点で高く評価でき,論文賞にふさわしいものである.
受賞理由:渋谷綾子「日本列島における現生デンプン粒標本と日本考古学研究への応用―残存デンプン粒の形態分類をめざして」第18巻第1号
本論文は,残存デンプン分析という,これまでの日本の植生史研究ではあまり取り組まれてこなかった手法に関して,その基礎として現生植物のデンプン粒標本の形態を検討し,遺跡間の比較を行うための方法論的な議論を行って,新しい方法論を吟味・確立した点で高く評価できる.本論文の形態分類法を用いると残存デンプン粒の植物種を絞りこむことが可能である.そこで,これまでその利用実態があいまいであった根菜類の利用の解明を可能にするなど,過去の植生や人の植物利用を解明するための有効な手段として,今後の発展が大いに期待できる.以上の点で本論文は論文賞にふさわしいものである.
5.会員の除名
会費の長期滞納により5名の会員について,2011年12月15日まで納入がない場合は除名することにした.
追記:除名対象者のうち2名については会費が納入された(2011年12月5日現在).
6. 自然史学会連合活動報告
第3回国際メタセコイアシンポジウムを,2010年8月3日-8日,大阪市立自然史博物館で開催した.
実行委員長:鈴木三男.実行委員:大山幹成・塚腰 実・高橋 晃・植村和彦・西田治文・大久保 敦・南木睦彦・百原 新・斎藤清明・能城修一.参加者:10カ国,60人.
7. 自然史学会連合加盟報告
(1)2010年11月28日:平成22年度連合講演会「東北の豊かな自然:ワンダー・イン・イーハトーブ」を岩手県立博物館にて開催した.
(2)2011年2月17日:「林原自然科学博物館の今後に関する声明」を出した.
(3)2011年6月17日:公開シンポジウム「緊急集会:被災した自然史標本と博物館の復旧・復興にむけて−学術コミュニティは何をすべきか?」を日本学術会議・統合生物学委員会自然史・古生物学分科会と共催で実施し,3万円の費用負担を含む協力を行った.
(4)2011年9月20日:文科省「博物館の設置及び運営上の望ましい基準」の一部改正案について意見書を提出した.
(5)2011年9月5日:ホームページをリニューアルした.
(6)平成23年度連合講演会を2011年11月23日に静岡市清水テルサにて開催すべく準備した.「標高差7000mの自然史−富士山から駿河湾まで−」というテーマで話題を10題提供,詳細は自然史学会連合ホームページを参照.
(7)平成23年度運営委員会を開催した(5月6日,6月24日,9月1日).
(8)博物館部会を開催した(6月29日,9月1日).
II. 審議事項
1. 2012年度事業計画
1-1. 庶務
(1) 2012年度評議員会を2011年11月5日(土),総会を2011年11月6日(日),弘前大学文京町キャンパスにおいて開催する.
(2) 第8回奨励賞の公募および選定を行う.
(3) 幹事会を4回程度開催する.
1-2.広報・渉外
(1) メーリングリストによる情報配信を適宜行う.
(2) ニュースレターを編集・刊行し,配信はメーリングリストにより行う.
(3) ホームページの管理と更新を行う.
(4) 会誌「植生史研究」に掲載する企業広告を募集する.
(5) 会誌「植生史研究」のPDF化とホームページでの公開を行う.
1-3.編集
(1) 会誌「植生史研究」を編集し,第21巻第1号・第2号を刊行する。
1-4. 行事
(1) 第26回大会を2011年11月5日(土)・6日(日)に弘前大学文京町キャンパスにおいて開催する.
大会実行委員長:関根達人.大会実行委員:上條信彦,杉野森淳子,伊藤由美子,根岸 洋,片岡太郎,清水 香,能城修一,佐々木由香,近藤 敏.
(2) 第33回談話会を2011年11月6・7日に大会巡検として開催する.テーマ:「下北半島猿ヶ森砂丘のヒバ埋没林」.世話人:箱崎真隆,三宅徹也,伊藤由美子.
(3) 第27回大会を2012年11月頃,新潟県において開催すべく準備する.
(4) 第34回談話会を2012年5月頃に開催すべく準備する.
2. 賛助会員の会則・内規の改訂案
賛助会員の会費改正に伴う日本植生史学会会則および日本植生史学会内規(賛助会員に関する内規)の改訂案について,賛成多数により承認された.
3. IPC/IOPC 2012協力委員会共催シンポジウム参加学生への補助金について
第13回国際花粉学会議と第9回国際古植物学会議の合同大会(IPC-XIII/ IOPC-IX 2012)を,2012年8月23日-30日に日本(東京,中央大学)で開催することになり,日本植生史学会は後援学会としてこれをサポートする.この会議のIPC/IOPC2012協力委員会共催シンポジウムで講演を行う国内外の学生に対し,メタセコイアシンポジウム実行委員会からの寄付金と前回大会余剰金からの寄付金を利用して補助金を分配する案について審議し,賛成多数により承認された.
4. 2012年度予算案
2012年度予算案について賛成多数で承認された.